【アニメ化決定】小説『桜花忍法帖 ~バジリスク新章~』レビュー

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今更だが、コアなファンの間では話題になったこの作品についてレビューさせていただく。

※なんかこの記事を書いている途中にアニメ化の話題が入ってきた。なんとタイムリーな事か…

桜花忍法帖 バジリスク新章(上)

 私的評価

☆☆☆☆☆…Excellent

☆☆☆☆…素晴らしい

☆☆☆…普通

☆☆…微妙

☆…私には合わない

・ストーリー…☆☆☆

・キャラクター…☆☆☆

・中ニ病度…☆☆☆☆

・山田風太郎っぽさ…☆

・エログロ度…☆

敢えて山田風太郎テイストを消した感

『バジリスク』についてはこちら

【ネタバレなし】『NARUTO』の元ネタ!?『バジリスク~甲賀忍法帖~』を紹介する 

山田風太郎テイストはまったくない今作は、よりSF色を強くした伝記SF小説のような仕上がりとなっている。

同人作品というよりは、架空戦記といったほうが聞こえがいいだろうか。

バッサリ斬ってしまえば、忍法帖シリーズの一として見てしまうのであれば期待外れ。独立した一個の作品として見るならば全然アリだ。しかし、やはり山田風太郎作品に寄せる手法は取らなかった以上、思った以上に違和感が残る。

これは石川健のコミカライズとして見るならば違和感はなかったろうなと思う次第だ。というのは、これは石川版『バジリスク続編』なのではないかとジョークを飛ばしたくなるほどに敵キャラクター成尋衆』『忍法』が何れも超絶無比であるからだ。

それこそ、NARUTOの忍者が素足で逃げ出すくらいの荒唐無稽なトンデモ能力なのである。

例えば「時間を操る」(!?)「空間を操る」(!!??)「魔獣を召喚し使役する」(!!!????)

などのもはや出る作品を間違えたとしか思えないような能力持ちが参戦する。

忍法とは一体。ンゴゴゴゴゴゴゴ

違和感の正体とはこれと『エログロ』だ。

山風作品の忍者が使用する忍法は、どれもこれも一筋縄ではいかないというか、常人の発想ではなかなか考え付かぬようなものが多い。バジリスクにも全身から血を吸ったり逆に全身から血飛沫をあげたりといったようなキワモノの技も多かったが、可愛いほうである。

例を挙げれば『くノ一忍法帖』。女忍者は全員が性的な忍法をもっており、そのうちの一人が用いる『忍法・夢幻泡影』は女性器から淫らな催眠を映し出すシャボン玉を放出し、それを見た男は情欲に狂い戦闘不能に陥る。発想がおかしい。

そういった能力のものをチームバトルにまとめ上げてしまうのだから山田御大の構想力たるやといったところだが、これではSF架空戦記といったほうが正しいのではないか。根本的にジャンルが違うような気がする。

とはいえ、作風を半端に寄せるのも健全とは言い難し。

作者の味が出ていてこれもまたよし。だが、あくまで同人的作品ということを念頭に置いておかねばならないとは思うのだが…

異能も異能、超絶忍法集団『成尋五人衆』

先にも書いたが、今作から『山田風太郎らしさ』を消し去っているのは大体こいつらのせいである。

出てくる作品を間違えたとしか思えないほどの壮絶なる技!!というかやっぱり出てくる作品間違えてる。百歩譲ってもケン・イシカワ版『魔界転生』に出てくるべきであろう、こんなチート連中は。

バジリスクのキャラクターの持つ『忍法』は、人間の常の域を遥かに超えているとはいえ『特殊能力』ではなかった。弦之介や朧の『瞳術』は明らかにおかしいが、ジョジョの『スタンド』みたいなトンデモ能力ではなかったのである。

しかしこいつらの異能力は度が過ぎているというほかない。バランスが明らかにおかしい。逆立ちしたって敵わないほどに強力すぎるのである。

『瞳術』、『破幻の瞳』への解答

『バジリスク』ひいては『甲賀忍法帖』では最強の忍術として扱われながらも、特に呼称の無かった弦之介の『瞳術』。多くの山田忍法帖シリーズの中でも、源之助の『瞳術』は群を抜いて最強である。

今作では、重要なファクターである『瞳術』に各々呼称が当てられている。

弦之介の瞳を受け継いだ甲賀八郎の『矛眼術』

朧の瞳を受け継いだ伊賀響の『盾眼術』

『有情』と『桜花』、そして」【矛盾】した2人の瞳術が繰り出す無限殺法空間『桜花空間』。ぶっちゃけこいつらが作中で一番のチートです。なんか那須きのこ作品みたいになってますが、バジリスクの重要なテーマの1つ『眼』に対する明確な回答ともとれる。

アニメ化決定

…いや、本当にこの記事自体はゆっくりと書いていた。この作品はマイナーなので記事もあまり読まれないだろうしね。

そしたら、どうだ。なんと、桜花忍法帖のアニメ化が決定!!

…いや、目玉が飛び出るくらい驚いた。げに恐ろしきはパチマネーか。いや、変な邪推はしてはならぬだろう…

こうなった以上、ゆっくりもしていられぬ。急ぎ下書き保存してあったこの記事を加筆し、完成に至らせたというわけである。

何故ならば、私は『バジリスク~甲賀忍法帖~』の大ファンだからである。

本当は、この作品のレビューももっと長々とするつもりだったが…アニメ化、コミカライズ化するならば話は別だ。そっちで楽しめればよい。

これを機にまた色んな人が『バジリスク』に触れてもらえると…うれしい。

下記に私が過去に書いた記事をリンクとして貼っておく。そちらも参照してもらえれば幸いだ。

それでは。

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